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2007年11月20日 (火)

其之参

「何見てんだっ!」

僕らが並んで立っているのを遠巻きに見ている連中に向かって、武は怒鳴った。

武は竹刀を投げてしまった張本人だ。

しかし、彼の顔は生来、「いつも笑っている」かのようで、そのせいで「スマイリー吉田」とか「スマイリー」なんて仇名で呼ばれていたりした。憎めないヤツだ。

正直、その表情は怒っているようには見えなかった。

そこへ下級生と思われる女の子二人組が横切った。すれ違いざま、クスッと微笑んで。

「・・・・惚れた・・・・。」

武はポツリと洩らした。

「これで何度目だよ!?また相手にされないって。」

沢井和也が呆れた顔で言った。

和也は、僕と同じクラスだ。出席番号が並んでいることから仲良くなった。

和也は、この五人の中で、一番、頭がキレる。だが、こんなバカ騒ぎにも参加してくる変わったヤツだ。

「行かなきゃわかんねーだろっ!」

スマイリーはすぐさま、彼女たちを追いかけた。

彼の戦績はもちろん惨たんたるものだったが、この行動力は見習うべきものである。

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しばらくして、スマイリーは僕らのもとへ戻ってきた。

あいかわらずの笑顔だったので、遠目からその結果は分からなかった。

「やったぞ!おい!メアド、ゲットしたっ!!」

「ウソッ!?マジで???」

僕らは一斉に声を吐き出した。

「どっちのコよ??オレ、あのショートのコ、可愛いと思ってたんだ。」

谷本正樹がスマイリーに聞いた。

「おい、それは都合よすぎだろ・・・」と内心、僕は思った。

谷本は小柄で黒縁のメガネをかけていた。すばしっこいヤツで、剣道場から逃げるのもコイツが一番速かった。でも芋づる式でバレてしまったワケだが・・・。

すこし、利己的なトコもあるが、その愛嬌ゆえかコイツも憎めないヤツだった。

「ショートに決まってんだろ。」

たしかに、あのクスッと笑った表情に、一瞬で虜になるのも無理はない。

多分、僕らは皆そう思っただろう。もう片方のコもそんなに悪くはなかったけど。

スマイリーの笑顔は更に笑顔で溢れているように見えた・・・

いや、本当のことを言うと、よく分からなかった。これは内緒だ。

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