其之拾六
♪・・・たいせつに握り締めていたものはいつのまにか壊れてしまったみたい
過ぎ去りし過去の後を引くように散らばったユメノカケラ
後から来る人々に踏み潰されてしまう前に
すべて拾い集めて解き放つよ、あの輝く夜空に
てのひらに受けた無数の星屑に願いをこめて・・・♪
「おお、瑞樹、うめえええええーー!!!!CDかけてんのかと思った。ど、どこにあるんだ、CDプレイヤー???」
「瑞樹さん、スゴイ!緋村さんソックリ・・・・」
「なんだよ、コイツ、こんな上手いの知らんかった!?」
僕は皆にチヤホヤされて、天狗になった。その後もチェスターフィールドの曲を歌いまくったと思う。
そして時間は過ぎ、終盤近く、皆がトイレに部屋を出て、室内には、僕とスマイリーお気にの美貴ちゃんの二人きりになった時間があった。
そこで、僕はスマイリーの株を上げようと美貴ちゃんに話しかけた。
「吉田、イイやつでしょ?アイツ、仕切るの上手いから、皆楽しめたと思うんだけど、どうかなあ??」
「うん。楽しかったです。沢村さんも、藍ちゃんと仲良くなっちゃってー。」
美貴ちゃんは、ヒジで僕をつついた。僕は少し照れて、
「いやあ、オレのことはいいんだけど・・・・」
美貴ちゃんは、僕の話の腰を折るように
「あの・・・、でも今日は沢井さんは一緒じゃなかったんですね・・・」
「ああ、うん・・・・?」
そうか、美貴ちゃんは和也目当てで、スマイリーの誘いをOKしたのか・・・。
その時はじめて分かってしまった。
けど、やっぱ、スマイリーのアシストのために僕は来たんだ。
なんとかアイツを喜ばせたくて・・・。
「でもさ、吉田、イイヤツだよ。アイツ、美貴ちゃんと遊べるって楽しみにしてたんだ」
「うん。面白い人。優しいし・・・」
「そう、なら・・・・」僕はつっかかるように、口を出したが、
「でも、沢井さんが来ると思って私も楽しみにしてた・・・・」
美貴ちゃんの言葉はするどく刺さった。いや、スマイリーが聞いてたらこのキズは致命傷だったろう。
これはもう、僕がどうこうできるものでもないなと思った。
それ以降の僕は多分、少し重い雰囲気だったのではないだろうか。皆に悟られぬようにはしてたはずなんだが・・・・。
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カラオケの会計を済ませると、僕らは外へ出た。
外は真っ赤な絨毯を広げたように空を夕焼けが染めた。
その赤色を受けた美貴ちゃんの顔は、頬を赤らめたように見えて綺麗に映った。
その魔法はきっとスマイリーにも、かかってるのだろうな。
魔法が解けてしまうまでは、この世界の色は何色にも輝いて見えて、その時々の人生の美しさを人は感じるのだろう。きっと誰もが例外がないように・・・。
そして、美貴ちゃんが七時には帰らないといけないとのことだったので、僕らは駅まで送り、解散した。
僕はスマイリーに何も言えぬままだった・・・。
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