其之拾八
高校に入学し、俊介は偶然にもアイツらと一緒のクラスになった。
僕だけは違うクラスだった・・・。
後に、和也から聞いたのだが、俊介が剣道部に入らなかったのは、中三の県大会の時にヤツに遇ってから、らしい。
そう、今は城北高校剣道部主将、石川健太だ。
決勝で合間見えたのだが、俊介は完膚なきまでにやられたらしい。
その実力の差に俊介は挫折を味わった。もう剣を捨ててしまおうと思っていた。
僕は当然、部活をする気もなく、かといって進学校の勉強にもついていけず、ただ学校に通うだけの毎日だった。
だが、俊介は、和也、スマイリー、谷本と仲良くなるうちに、また剣道を始めたくなったらしい。
そして、高一の夏に剣道部に入部した。もちろん、腕のある俊介はメキメキと頭角を現し、主力選手になった。
そこで、高二の県大会、ヤツと再び合間見えることになった。
接戦の末、敗れたが、中学の時ほど実力の差は感じなかったようだ。
俊介が成長したのか、石川の伸びが足りなかったのかは分からないが・・・・。
ただ、その一戦は雑誌にも取り上げられた。それは俊介のルックスからかもしれないが、一躍、俊介は青嵐のスターとなった。
僕はといえば、一日一日をムダに過ごしていたんだ・・・。
ときどき、俊介に
「瑞樹、なにかやればいいのに・・・。なにか興味あるもんないの?」と問われることがあった。
僕は
「・・・・なにもしたくないんだ・・・。」と答えるだけだった。
僕は、自らに鍵をかけて何もしようとはしなかった・・・。
そして、三年になってクラスメイトも様変わりし、僕は出席番号がひとつ前の沢井和也とよく話すようになった。
和也は凛々しい風貌で、女子にも人気があったが、当の本人はどこか飄々としていた。
それが男の僕でもカッコよく見えた。ある意味、憧れていたのかもしれない。
和也は剣道部員で、俊介と仲もいいことから、僕らは昼休みに剣道場に集まって遊ぶようになった。
五人でつるむ内に、僕はなにか人間的な感情を取り戻せてきたような気がした・・・。
そのころからだろうか、顔から険が取れたというか、表情が柔らかくなったと言われることも多くなったんだ。
| 固定リンク

コメント