« 其之拾七 | トップページ | 其之拾九 »

2008年4月 1日 (火)

其之拾八

高校に入学し、俊介は偶然にもアイツらと一緒のクラスになった。

僕だけは違うクラスだった・・・。

後に、和也から聞いたのだが、俊介が剣道部に入らなかったのは、中三の県大会の時にヤツに遇ってから、らしい。

そう、今は城北高校剣道部主将、石川健太だ。

決勝で合間見えたのだが、俊介は完膚なきまでにやられたらしい。

その実力の差に俊介は挫折を味わった。もう剣を捨ててしまおうと思っていた。

僕は当然、部活をする気もなく、かといって進学校の勉強にもついていけず、ただ学校に通うだけの毎日だった。

だが、俊介は、和也、スマイリー、谷本と仲良くなるうちに、また剣道を始めたくなったらしい。

そして、高一の夏に剣道部に入部した。もちろん、腕のある俊介はメキメキと頭角を現し、主力選手になった。

そこで、高二の県大会、ヤツと再び合間見えることになった。

接戦の末、敗れたが、中学の時ほど実力の差は感じなかったようだ。

俊介が成長したのか、石川の伸びが足りなかったのかは分からないが・・・・。

ただ、その一戦は雑誌にも取り上げられた。それは俊介のルックスからかもしれないが、一躍、俊介は青嵐のスターとなった。

僕はといえば、一日一日をムダに過ごしていたんだ・・・。

ときどき、俊介に

「瑞樹、なにかやればいいのに・・・。なにか興味あるもんないの?」と問われることがあった。

僕は

「・・・・なにもしたくないんだ・・・。」と答えるだけだった。

僕は、自らに鍵をかけて何もしようとはしなかった・・・。

そして、三年になってクラスメイトも様変わりし、僕は出席番号がひとつ前の沢井和也とよく話すようになった。

和也は凛々しい風貌で、女子にも人気があったが、当の本人はどこか飄々としていた。

それが男の僕でもカッコよく見えた。ある意味、憧れていたのかもしれない。

和也は剣道部員で、俊介と仲もいいことから、僕らは昼休みに剣道場に集まって遊ぶようになった。

五人でつるむ内に、僕はなにか人間的な感情を取り戻せてきたような気がした・・・。

そのころからだろうか、顔から険が取れたというか、表情が柔らかくなったと言われることも多くなったんだ。

|

« 其之拾七 | トップページ | 其之拾九 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/495855/12045453

この記事へのトラックバック一覧です: 其之拾八:

« 其之拾七 | トップページ | 其之拾九 »