其之参拾壱
日曜日になった。
藍ちゃんと約束していたので、僕は連絡をとり、
駅前で待ち合わせることにした。
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「こんにちわー。早いね」
「ああ、こんにちわ。さっき来たばっかだよ」
藍ちゃんは、とびっきりのおしゃれをしてきたのだろう。
駅前の噴水が陽に照らされ、その光の粒は
彼女の微笑をより綺麗に写した。
「さあ、どこに行きましょうか?」
藍ちゃんの小悪魔のような笑顔は、僕をいつも以上に
緊張させた。
「あ、うん・・・・えっと、パスタでも食べに行こうか」
とりあえず、女の子と御飯といったら、
パスタで大丈夫だろうと勝手に考えていた。
「え?いいね、いいね!じゃあ、どこにする?」
藍ちゃんは、はしゃいで僕の左腕に腕を組んできた。
これから、”好きな人がいるってこと”を
伝えなければならないのに、そんなことをされてしまい、
僕は心が揺らぎそうになった。
「藍ちゃん、いいトコ、知ってる?」
僕は聞いてみた。
「うーんと、ここからなら、”ジュリアンヌ”かな。
有名なんだよ。私も行ったことなかったから、
ちょうど行きたかったんだ」
「へー。じゃあ、そこに行こうか」
僕らは”ジュリアンヌ”に行って昼食をとることにした。
”ジュリアンヌ”は、若者向けな内装で、
おしゃれな雰囲気がした。
これなら、女の子受けいいだろうな、と僕は感心した。
店内はカップルであふれていた。
「スゴイねー。いっぱいだ」
日曜のお昼ということと、評判の店だということで、
行列が出来ていたので、僕らは一番最後尾に並んだ。
そして、二十分ほどして、空いた席に座ることが出来た。
「ああ、並び疲れたねー」
「うん。これは、期待できそうだ」
僕は、めんたいパスタ、
藍ちゃんは、イタリアンを注文した。
「わあ、おいしいね」
藍ちゃんは、一口、くちにすると、僕に言った。
「うん。うまいな。こりゃ、行列ができるのも、
うなずけるな」
「めんたいの方は、どんな感じ?
ちょっと貰っていいですか?」
「・・・・え?ああ、いいけど・・・・」
僕は藍ちゃんに、お皿を渡した。
「こっちも、おいしいですよ。食べてみてください」
そう言って、変わりにイタリアンのお皿を僕に
差し出した。
「・・・うん!こっちもイケる・・・・」
「ですよね。おいしいー!」
そして、僕らはあっとゆう間に、パスタを平らげた。
傍から見ると、僕らはカップルのように
みえたのではないだろうか。
少ししてから、僕は、ついに話を切り出した。
「・・・実はさ、オレ、好きな人がいるんだ・・・」
「え?・・・・・でも、あの時そんなこと
言ってなかったじゃないですか」
藍ちゃんは驚いて、僕に詰めかかってきた。
「あ、うん・・・」
僕は口ごもった。
たしかに、合コンの時には、麗華と知り合ってもなく、
藍ちゃんのことを好きになりかけていたのかもしれない。
あの時には、調子に乗って”恋人募集中”なんて
言ったかもしれない・・・・。
「・・・・・・・付き合ってるんですか?」
藍ちゃんが聞いてきた。
「・・・いや。・・・そうじゃないんだけど」
「私、瑞樹さんのことが好きです。あの時会って以来、
ずっと頭の中いっぱいになっちゃって・・・・
その人より私の方が絶対、絶対、瑞樹さんのことを
好きな自信があります!」
藍ちゃんは、涙目になって僕に訴えかけてきた。
「・・・・・ゴメン」
僕は小さく口を動かした。
「でも、まだ付き合ってないんですよね?
私、諦められないんです。
待ってます、待ってますから・・・・」
そう言って、藍ちゃんは、泣き出してしまった。
僕は罰が悪くなり、藍ちゃんを連れ、店を早々と出た。
すこし離れた場所に、ベンチがあったので、
そこに座り、藍ちゃんが泣き止むのを待った。
「・・・・・・・・待っててもらってもいいけど
・・・・それじゃ、悪いよ」
僕は、つい口走ってしまった・・・。
「ホントーですか?私、絶対、瑞樹さんが
好きになってくれるように努力します」
すこし、笑顔を取り戻したようだ。
しかし、女性の涙はやはり武器なのだなあ・・・。
僕は、せっかく決心して、今日、を挑んだのに、
揺らいでしまった・・・。
しばらくして、僕らは別れ、家に帰ることにした。
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「あ。和也。・・・・オレ。
今日、結局伝えたんだけど・・・・」
僕は、和也に電話した。
今日、藍ちゃんに好きな人がいると告げたこと、
そのあとの展開を話した。
「・・・・そうか・・・・。
まあ、彼女には悪いよな・・・・・。
でも、そこまで想ってくれてるなんて幸せだな。
それなら、瑞樹も早く藤崎に告白しなよ。
そうすれば、その後のこともハッキリとできるだろ?」
「・・・ああ。そうかもしんない・・・・」
僕は和也に言われて、麗華に告白する決心がついた。
それに、麗華のことを思うだけで、日に日に
胸が苦しくなってきていたんだ。
もう、ここが勝負どころかもしれない・・・・
僕は、麗華の携帯に電話をかけ、
来週の日曜、あの公園で会う約束をした。
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