其之参拾四
「麗華ちゃん、瑞樹くん、ちょっと」
僕と麗華は、園田に呼ばれた。
「こちら、叶絵里さん。実は僕たち、結婚すること
になったんだ。紹介しておこうと思って」
麗華は動揺し、落ち込んだ表情をしたが、それを
隠しこんだのが、僕には分かった。
「・・・そ、そうですか。店長、絵里さん、
おめでとうございます・・・」
麗華はそう言うとすかさず、僕の腕を掴んで店を出よう
とした。
「ありがとう・・・って、あれ!?
麗華ちゃん、どうしたの??」
「なんでもない・・・」
麗華は涙を隠そうとしたが、それは思わず溢れてきた。
僕は、店長に一礼して、麗華と共に店を出た。
麗華は、もちろん、園田のことを好きだという気持ちを
僕に知られてしまったと感じていた。
僕も、当然、それが分かっていたから、帰りの道中は、
なんともいえぬ雰囲気のまま、二人共、
口を開かなかった。
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そして公園まで戻ってくると、麗華は誰が見たって
作り笑いと分かるような笑顔を僕に見せ、
思い出したように言った。
「あ。そういえば、沢村くん、話しがあるって
言ってたよね」
「・・・うん・・・ああ・・・・」
僕は、覚悟を決めた。
「オレ、藤崎さんのことが好きなんだ。
あの日逢って以来ずっと、君の事で頭の中がいっぱいに
なっちゃってさ・・・
今日はそれを言おうと思ってたんだ」
ついに言ってしまった。
心臓が破裂しそうなほどに高鳴る僕の鼓動は
彼女にも聞こえたかもしれない。
麗華は、涙を流しながら答えた。
「・・・・ありがと。・・・でも、ゴメンね。
私、園田店長のことが好きだったの・・・」
僕は、すかさず麗華を強く抱き寄せて言った。
「うん・・・・。さっき、分かった。
でも、あの人、結婚するんだよ。
・・・・オレじゃ、ダメかなぁ?」
少しの静寂の後、麗華は僕の腕を振りほどいた。
「・・・ゴメン。やっぱり今は考えられない・・・」
そう言って、走り去る彼女の姿を、僕は見送った・・・
なまぬるい風が僕にまとわりついたまま、
離れようとはしなかった。
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コメント
うぉぉ~!!怒涛の展開!!
そんなに急いじゃって、大丈夫なの?
投稿: とくちゃん。 | 2008年6月12日 (木) 08時17分