其之参拾伍
僕は公園のブランコに腰かけたまま、しばらくの間
うつむき、考え込んでいた。
その後、今まで赤味がかっていた夕焼けは、
薄暗い闇雲に包まれ、やがては雨を降らせた。
僕は傘もささずに、その雨にただ打たれていた。
それはまるで、僕の痛みをキレイに
洗い流してしまいたいがためのようでもあった。
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「瑞樹さん!どうしたんですか!?
ズブ濡れですよ・・・」
そう言って、赤い傘を手にした女の子が
僕に近寄ってきた。
藍ちゃんだ。
僕は、あの後つい、藍ちゃんにメールして、
この公園に呼び出してしまったんだ・・・。
近寄ってきた藍ちゃんを、僕は間もなくギュッと
引きよせ、そのまま強く抱きしめた・・・・。
「・・・瑞樹さん・・・・」
藍ちゃんは、僕に何があったのかを漠然と
気が付いたようで、何も言わずそのまま僕を
抱きしめ返してくれた。
僕はなんて、卑怯な人間なんだろう・・・
一度は引き離そうとした女の子を、自分が傷付いたから
といって、その傷を癒してもらいたいがため、
利用してしまっているようなものだ・・・。
僕はなんて、弱い男なんだろう・・・
ただ、その小さな体は、雨に冷たく震えながらも、
僕を包み込んでくれていた。
その心底に溢れるぬくもりを感じた僕は、
この華奢な肩を、この濡れた綺麗な黒髪を、
この潤んだビー玉のような瞳を、愛おしいと思ったんだ。
真っ赤な傘は持ち主を失い、そのまま僕らの横を
転がり、風に舞った。
そして、冷たい雨に打たれながら、
二人のシルエットは近づき、しばらく離れなかった・・・。
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