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2008年8月11日 (月)

其之参拾七

生暖かい空気が館内を満たし、その場を埋めた

人々の額からは汗が絶えず流れ出ている。

ただ、それは決して淀んだ雰囲気ではなく、

黄色い声援を上げる女生徒たちに埋め尽くされていた。

「すごいな・・・これ、俊介効果か!?」

僕は、その女生徒の数に圧倒された。

そう、何ヶ月か前に雑誌に特集されたんだ。

その雑誌は、剣道誌という一般向けのものではなかった

のだが、そこから、口コミで火を噴き、

『今話題の高校生』としてファッション誌に掲載された

のが原因だろう。

その誌面には、正座をした俊介が面を外し、膝の上に

置いた状態で写されていた。

さすが、プロの撮った写真だ。陰影が俊介の引き締まった

マスクを強調していた。

ファンが増えるのは仕方ないことだ。

俊介自身困惑してはいたが・・・。

僕は、俊介に言われるように、変装して武道館内に

潜り込んでいた。

サングラスとキャップをかぶっていたんだが、女生徒の中

でさすがに、これは浮いてるんじゃないかなと自分でも

思った。

「おい。アレ、瑞樹じゃねぇ?」

「え?あ、ホントだ。アイツ、バレバレだよ・・・ハハ」

「俊介!瑞樹、来てんぞ」

「ああ、来てくれたんだな。よし、ガンバるかんなっ」

俊介たちが僕の方を見て、何やらクスクス笑っていた。

多分、こんなやりとりをしていたのではないだろうか。

僕は、この蒸し暑い中、剣道部の勇姿を見守ったんだ。

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団体戦はやはり力及ばず、二回戦敗退という惨たんたる

結果に終わった。

しかし、個人戦は、やはり順当に勝ち進み、

決勝、俊介対城北高校の石川という図式になった。

石川という選手は見た目にゴツく、力技で押してくる

タイプではないかと容易に想像がついた。

対して、俊介はスラッとした体型で、

こういった選手には押し負かされるんじゃないかと

僕は不安になってしまうほどだった。

でも、あの自信ありそうな俊介の声を聞く限り、

かならずやってくれると確信していた。

そして、その一戦が今にも始まりを告げようかと

女生徒の黄色い声援が会場内を

クレッシェンドしていった。

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